コンパクトで球形の愛らしい外観を持つ芽キャベツは、煮込み料理や炒め料理を含むたくさんのメニューで役立つ食材です。
一つの株から複数の果実を得ることが可能なため、芽キャベツが好きなら自宅での栽培を試してみるのがおすすめですよ!
この記事では、芽キャベツの魅力や栽培の基礎、そして継続して収穫する事ができる方法について解説します。
芽キャベツの育て方入門
市場ではあまり目にすることのない芽キャベツですが、その特徴や栽培方法について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
見た目が通常のキャベツに似ているため、芽キャベツを「未熟な状態のキャベツ」と勘違いしている人もいるかもしれません。
実は、芽キャベツはベルギーで生まれたキャベツの野生種から選ばれた品種で、脇から球形に成長する脇芽が特徴的です。
収穫期は場所によって異なりますが、主に11月から3月にかけてで、一つの植物から50個以上の実を収穫できることもあります。
植物は成長すると60cmから120cmの高さになり、茎に沿って多くの球形の芽をつけることが特徴です。
芽キャベツは一般的なキャベツよりも硬いため、生ではあまり食べられず、加熱調理が一般的です。
煮物やスープのほか、茹でてサラダにしたり、ベーコンと炒めたりして楽しめます。
自宅で育てるのも楽しいですよ
芽キャベツの育て方|土づくりから植えつけまで
芽キャベツを栽培する際、どこにどのように植えるべきか、そしてどのように管理するべきかについてお話しします。
栽培を始める前に知っておくべき、土づくり、種まき、植えつけについてご紹介します。
芽キャベツが好む環境
芽キャベツは冷涼な気候を好み、日当たりの良い場所での植えつけが望ましいです。
しかし、夏の強い日差しは避けるために、遮光ネットを使うことが推奨されます。
風通しの良さと排水性も大切です。
排水が悪い場所に植える場合は、土を盛り上げて畝を作ると良いでしょう。
また、キャベツやコマツナ、ブロッコリーなど、同じアブラナ科の作物を栽培していた土地では、3~5年は異なる作物を植えることが推奨されます。
土づくり
地面に直接植える場合は、植えつけの2週間前に苦土石灰を、1週間前には堆肥や緩効性肥料を混ぜ込んで土をよく耕しておきます。
プランターでの栽培を考えている場合は、野菜栽培用の土を使うことをお勧めします。
種まき
春に種をまいて夏から秋にかけて収穫する方法もありますが、夏の高温期は管理が難しくなります。
気温が高いと結球しにくくなるだけでなく、害虫の被害にも悩まされやすいです。
そのため、家庭菜園で初めて挑戦する方は、7月から9月にかけて種をまき、秋から冬にかけて収穫するスケジュールがおすすめです。
この時期は気温が下がっていくため、芽キャベツの世話もしやすくなります。
種を育苗ポットにまく場合は、1ポットに3粒から4粒程度を目安にして覆土し、たっぷりと水を与えてください。
発芽するまでは土が乾かないように気をつけましょう。
発芽した後は、より健康的な苗を選んで間引き、本葉が2枚から3枚になるまでに1本立ちさせます。
植えつけ
本葉が5枚から6枚になったら、植えつけのタイミングです。
植えつけが遅れると、初期の生育に悪影響を及ぼし、脇芽の発育がうまくいかないことがあります。
適切なタイミングで植えつけることが大切です。
畑に植える場合は、畝を70cmから80cmの幅で作り、株間は50cmから60cm程度空けると良いでしょう。
株間を適切に空けることで、風通しを良くし、日光が株元にしっかりと届きやすくなります。
芽キャベツは根が深く伸びるので、プランター栽培をする場合は深めのプランターを選ぶことがポイントです。
10号鉢では1株、60cm程度の深型プランターでは2株を目安に植えると良いでしょう。
植えつけ後は、根の活着を促進させるために、植物用活力液を1000倍に希釈してたっぷりと水やりをしましょう。
防虫対策
アブラナ科の芽キャベツは、アブラムシやアオムシなど害虫の被害に遭いやすいので、植えつけ直後から防虫ネットや寒冷紗を使用することが推奨されます。
植えつける前に、葉の裏などをよく確認し、虫や卵が付着していないかをチェックしましょう。
芽キャベツの育て方|収穫までの管理
芽キャベツをたくさん収穫するためには、その性質に合わせた適切なケアが重要です。
ここでは、健康な芽キャベツを育てるための管理方法を紹介します。
水管理
芽キャベツは過湿を避ける必要があります。
過剰な水やりは根腐れの原因となるため、地植えの場合は自然の降水に頼るのが基本です。
ただし、プランターで育てる場合は、土の表面が乾燥したらたっぷりと水を与えることが肝心です。
特に夏の暑い時期は、毎日の水やりが必要になることもあります。
肥料管理
長い育成期間と多くの実をつける芽キャベツには、適切な肥料が不可欠です。
植え付け後、健全な成長を促すために適切な野菜用肥料を株の周りにまき、本葉が8枚程度になったら追肥します。
その後は1~2ヶ月ごとに追肥を行いましょう。
土の管理
成長に伴い、芽キャベツは上向きに大きくなるため、植物が倒れないように株元に土を寄せて支えることが大切です。
追肥の際に同時に行うと良いでしょう。
病害虫管理
特にアブラムシは芽キャベツの成長を妨げる害虫です。
アブラムシを放置すると、病気の拡散の原因にもなります。
発生を抑制するには、シルバーマルチを利用するのが一つの方法です。
また、定期的に植物を観察し、害虫の初期発見・駆除に努めましょう。
葉の管理
成長すると、脇芽が伸びてくるため、適切な葉かきが必要です。
葉かきを行うことで、風通しや日照条件を改善し、下葉は全て取り除き、上部の葉は10枚程度残します。
これにより、栄養が結球する脇芽に集中し、健康な成長を促します。
支柱の設置
芽キャベツは成長とともに倒れやすくなります。
植え付け時から支柱を使って植物を支えることで、風や重みによる損傷を防ぎます。
特に葉かき後の植物はバランスが崩れやすいため、支柱が重要になります。
収穫方法と管理
芽キャベツの脇芽は、下から順に成熟します。
適切な収穫時期は、球が直径2cm~3cmの大きさになったときです。
収穫時は実を優しくひねって取るか、他の脇芽を傷つけないように慎重にハサミで根元から切り取りましょう。
収穫が遅れると、結球した芽キャベツが割れてしまうことがありますので、収穫のタイミングには注意が必要です。
継続的な収穫のためのお手入れ
一株から複数回にわたって収穫できる芽キャベツでは、初回の収穫後も適切なお手入れを続けることが大切です。
11月頃に始まる収穫シーズンは、適宜追肥を行い、土寄せをして株を支えることで、翌年の2月頃まで長期にわたる収穫が可能です。
肥料が不足すると結球しない脇芽が増えてしまい、収穫量が減少してしまいますので、10日に1度は速効性の液体肥料を追肥しましょう。
まとめ
家庭菜園での芽キャベツ栽培は、適切な水やり、肥料の管理、土寄せ、病害虫の予防、葉の管理、支柱の設置といった一連の管理作業を通じて、新鮮で美味しい芽キャベツをたくさん収穫する楽しみを提供します。
市場で手に入りにくい芽キャベツを、自宅の庭やベランダで育ててみることで、食卓に新鮮な野菜を供給できます。
日々の世話を怠らず、豊かな収穫を目指しましょう。