ほうれん草を育てている際に、「葉っぱが黄色くなり、元気がなくなる」というトラブルが起きる事があります。
適切な肥料を与えているのになぜ…?と、悩んでいる方のために、ほうれん草の葉が黄色くなってしまう原因と、それをどう対処すればいいのかを深掘りして説明します。
ほうれん草の播種適期
秋にほうれん草を植える際は、8月の終わり頃、暑さが少し落ち着いた時が最適です。
ほうれん草は高温に弱いため、30℃を超える暑い日が続く場合には、播種を延期することが望ましいです。
焦らずに最適な時期を待ちましょう!
ほうれん草が黄色くなる原因
三大栄養素の不足
植物の成長には窒素、リン酸、カリウムという三大栄養素が不可欠です。
これらが不足すると、ほうれん草にどのような影響があるかを見ていきましょう!
窒素不足の影響
窒素は葉の成長を促進する重要な栄養素で、特にほうれん草のような葉物野菜にとって欠かせません。
生育初期に十分に供給することが重要で、不足すると葉が黄色くなる傾向があります。
特に、古い葉から黄色化が始まり、新しい葉の成長が鈍化します。
リン酸不足の影響
リン酸は花や実の成長をサポートし、植物全体の健全な成長に寄与します。
ほうれん草では、適切な時期に元肥として施肥すれば、リン酸不足は起こりにくいですが、不足すると特に下葉が黄色く変色します。
カリウム不足の影響
カリウムは、植物の病気に対する抵抗力を高めるなど、健康な成長を支える役割を果たします。
通常の施肥で不足することは少ないですが、砂質の土壌ではカリウム不足が起こりやすく、葉脈間の黄変や斑点が現れる場合があります。
ただし、斑点は病気の兆候でもあるため、病気か栄養不足かの見極めが必要です。
これらの栄養素不足が疑われる場合、適切な肥料を施して栄養バランスを整えることが重要です。
特に、粒状苦土石灰の使用は、マグネシウムとカルシウムの補給に有効であり、ほうれん草の健康な成長をサポートします。
土壌のpH値
ほうれん草が期待通りに育たない時、土壌のpH値が影響していることがあります。
ほうれん草は、酸性の土を避ける傾向があり、pH値が6以下だと成長に悪影響を及ぼし、5以下では枯死することも。
ほうれん草が好むのは、pH7~8のややアルカリ性の土壌です。
酸性土壌対策
まずは土壌酸度計で土の酸度をチェックします。
酸度計がなければ、スギナやハコベ、オオバコなどの特定の雑草の生育から土壌が酸性かどうかを推測できます。
pH値が6以下の酸性であれば、「石灰」を使って土壌をアルカリ性に改善します。
消石灰、苦土石灰、有機石灰など石灰の種類があり、使用方法や量も異なるため注意が必要です。
※消石灰や苦土石灰は、播種の2週間前に施し、直前には有機石灰を使用します。
※苦土石灰は化成肥料と同時に使用するとガスが発生し危険なので、肥料を施す際は1週間空けましょう。
ほうれん草の黄色い葉に対する処置
ほうれん草の葉が黄色になってしまった時は、「粒状苦土石灰」の使用がお勧めです。
この苦土石灰はマグネシウムとカルシウムを含んでおり、これらの成分がほうれん草に必要な栄養を補給します。
粒状のものを選ぶことで、成分が徐々に溶けて長期間効果を持続させることができます。
これらの成分は葉の成長と強化に不可欠です。
適用方法は、畑全体に均一に散布し、特に低温や乾燥が原因で栄養の吸収が難しい時には、十分な水やりを行ってください。
※水やりは、凍結する可能性のある冷え込む時期には特に注意が必要で、温室栽培やマルチ栽培が有効な手段となります。
害虫問題
ほうれん草が思うように育たない原因として、害虫の存在も考えられます。
特に、同じ場所で栽培していて生育に差が出る場合、土中にコガネムシの幼虫が潜んでいる可能性があります。
害虫への対応
コガネムシの幼虫による被害を未然に防ぐためには、「ダイアジノン粒剤」の投入が効果的です。
先に述べた通り、葉の変色や枯れの原因は肥料不足だけではなく、さまざまです。
ほうれん草が黄色くなる対応策
病気や害虫の場合は、病斑や斑点、食害などから判断が比較的容易なため、適切な殺菌剤や殺虫剤を使用して対処することが推奨されます。
土作りをしっかり行い、適切に追肥していても問題が解決しない場合は、追加の追肥がかえって逆効果になることもあります。
土の乾燥状態や過湿、根の状態もチェックしてみましょう。
土壌のpH値が原因で肥料の効果が損なわれることもありますので、土壌のpHを測定し、もし値が低ければ石灰資材を使って土壌バランスを調整することが大切です。
プランター栽培の場合は、庭植えよりも水やりによって肥料が流出しやすいことが考えられます。
まずは病害虫の有無や根腐れがないかを確認し、問題がなければ薄めた液体肥料を施してみてください。
枯れた葉はいずれにしても取り除くことが望ましいです。
液体肥料の追肥推奨
肥料が不足している時やプランターでの栽培では、迅速に効く液体肥料の追肥がおすすめです。
特に野菜専用の液体肥料を選ぶと良いでしょう。
例えば、住友化学園芸の「マイガーデンベジフル液肥」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」が挙げられます。
ほうれん草の肥料の与え方
ほうれん草は栽培期間が短いため、基本的には元肥のみで十分ですが、冬播きやプランター栽培の場合は、葉が3~4枚になった時点で少し追肥しても問題ありません。
地植えのケース
地植えでの栽培では、良質な土作りと酸性土への対策が重要です。
堆肥と石灰を一緒に使用する場合は、堆肥から放出される窒素が失われないように、石灰の散布と1週間ほど間隔を空けます。
また、石灰を散布してから土壌のpH値に変化が現れるまでには、1週間から10日程度かかりますので、その後に種まきを行うと良いでしょう。
牛糞などの堆肥を平米あたり約1kg施し、混ぜ合わせます。
堆肥を散布した後、1週間経ってから、苦土石灰を平米あたり150gと基本的な有機または化成肥料を加え、土とよく混ぜ合わせてから畝を作ります。 その後、2日から10日で種を蒔きます。
鉢植え・プランターのケース
鉢植えやプランター栽培では、既に元肥が含まれている野菜用の培養土が便利です。
自分で土を作る場合は、赤玉土、腐葉土、バーミキュライトを適切な比率で混ぜ、苦土石灰を1リットルの用土に対して3g混入します。
土を自分で配合するか、元肥がない場合は、化成肥料を追加します。
プランター栽培では水やりにより肥料成分が流出するため、生育を見て本葉が3~4枚になったら液体肥料で1度追肥することが推奨されます。
まとめ
ほうれん草の葉が黄色くなる主な原因には、過度な暑さ、土壌の酸度問題、そして害虫の被害が挙げられます。
健康なほうれん草を育てるためには、播種前の土壌調整、適切な播種時期の選定、そして害虫に対する予防措置が重要です。